精密製造

成形ベアリングハウジングアセンブリ(カートリッジ)
溶接スチールローラー内への全コンポーネントの自動自己整合に関する説明
はじめに
従来、溶接スチールコンベヤローラーの製造においては、最初に2つの中空のプレススチールベア リングハウジングを、準備された圧延管の両側に溶接し、その後、一連のアセンブリ工程を実施
して製造を完了するのが一般的でした。

しかし、成形ベアリングハウジングアセンブリ(カートリッジ)の実用化によって、専用の中空 ベアリングハウジングの使用はベストプラクティスとみなされなくなり、現在、弊社の英国内外
のお客様は、この製造方法を使用しておりません。

以降では、この新技術によって達成された溶接スチールローラー製造工程の進化について概説し ます。

1. 現場でのローラー障害
ローラーメーカー各社は、現場において、軸のミスアライメントがローラー障害の主要原因にな ることを、身にしみて経験しています。ローラーシャフトの中心軸とローラー自体の中心軸にミ
スアライメントがあると、ローラーの中心軸を中心とした回転に望ましくない偏心が発生します。さらに、軸のミスアライメントは、ローラーシャフト他端のローラーベアリングの中心軸のミ。スアライメントを招きます。コンベヤシステムでは、これにより、以下の問題が引き起こされる 場合があります。

  • コンベヤベルトの望ましくない調和振動(これに伴い、漏れ、ベルトの不均等な磨耗など の問題が発生)
  • 調節不能なベアリングのプリロード、ベアリングの磨耗や過熱など これらの影響が重なり、最悪の場合には、ローラー障害が直ちに発生したり、障害が発生しない 場合でも、ローラー寿命が大幅に短くなります。

成形ベアリングハウジングアセンブリ(カートリッジ)の実用化と、この新方式を使用したロー ラー製造工程によって、ローラーメーカーは、上記の問題の発生を大幅に押さえることができる
ようになりました。

2. 軸アライメントの制御
アセンブリの初期段階で2つの中空プレススチールベアリングハウジングを圧延管の両端に溶接す る、従来式のローラー製造方法では、ローラーの軸アライメントは、主に2組の溶接アセンブリ工
具内部にある2本の強固な中心心棒によって制御されていました。

2組の工具は、従来式ローラー溶接機の両側の2つのヘッド上に取り付けられ、工具の中心心棒は、圧延管中心軸の位置合わせに使用される外付けの工具エレメントと連動します。

成形ベアリングハウジングカートリッジ -ローラーコンポーネントの軸の自動自己調整の説明(2ページ) 中心心棒は、2つのスチールハウジングのプレス加工された中空部分と正確に連携するように設計 され、ハウジングの2つの中心軸が圧延管の中心軸に位置合わせされていました。(「プレススチールローラーベアリングハウジング – 完全な円をプレス加工することの不可能さ」と題された非公式報告書も合わせてご参照ください。)

カートリッジ式ローラー製造方法の実用化により、アラメントにおける重要な制御箇所がローラ ーシャフト自体の中心軸に移動しました。 現在、強固な中心心棒には、精密加工されたメス型ソケットが装備されており、事前アセンブリ と注油が完了したローラー端面のシャフトオーバープロジェクション(突き出し部分)と噛み合 うようになっています。

3. 新式ローラー – 溶接前にアセンブリと注油が完了
ここで、エドウィン・ロウ・リミテッドのローラーは、溶接サイクルの開始前に、アセンブリと 注油が完了していることを明記する必要があるでしょう。

これにより、ローラー製造にカートリッジ式成形ベアリングハウジングを利用した場合、その製 造工程は大幅に変更されることになります。

4. 作動原理とそのメカニズム
ローラーメーカーは、ローラーシャフト両端で2枚のベアリングシートを製造するため、機械加工 か研磨によって、シャフト両端の直径を、ベアリング内径と数ミクロンの交差で精密加工します。

同様に、新型溶接機のヘッドツール両端の2つの中心心棒内の中空ソケットも、精巧な内径を得る ために精密加工され、ローラーシャフト両端の加工外径に対して、数ミクロン単位の交差に調整
されます。

さらに、2つの中心心棒の中心軸も、溶接機の設置段階で、ローラー溶接機(現在ではレーザーが 一般的)の中心軸に対して精巧に相互に位置合わせされます。

ベアリングハウジングのカートリッジも、厳密なフランジの同心度と偏心交差を重視するなど、コンポーネントの中心軸に対して精巧な軸アライメントが行えるように設計されています。 従って、溶接シーケンスの前に、ツインヘッドのローラー溶接機両端のヘッドに取り付けられた ツールによって、すべてのコンポーネントが機械上に固定されると、厳密な交差の2つの中心心棒 内径と厳密な交差のシャフトプロジェクション外径が連携し、すべてのローラーコンポーネント がローラーシャフトの中心軸に対して正確に位置合わせされます。

成形ベアリングハウジングカートリッジ
-ローラーコンポーネントの軸の自動自己調整の説明(3ページ) つまり、2組の外付けヘッドツールによって、圧延管の中心軸がローラー溶接機の中心軸に自動的 に位置合わせされると同時に、メス型の中心ツールによって、ローラーシャフトの中心軸が自動 的に位置合わせされるため、2つのローラーベアリングの中心軸も、ローラー溶接機の中心軸に位 置合わせされることになります。

従って、ローラーの全構成コンポーネントの中心軸の位置合わせが初めて自動化されるようにな っただけでなく、さらに重要なことに、従来のアセンブリ方式よりも、精密な制御が可能になり
ました。

5. アセンブリの自動制御を実現
新たな方式により、溶接機のアセンブリ作業が、大幅に短縮されたローラー製造プロセスの最後 のアセンブリ作業になり、全ての構成コンポーネント(シャフト、ベアリング、管など)の中心
軸が、溶接機の中心軸に対して自動的に位置合わせされるようになりました。ただし、これによって、圧延管メーカーが要求する真直度、楕円率、肉厚などの商業交差の実現 や、現場の加工交差の厳密な制御など、ローラーメーカーが抱えるすべての課題が解決されたわ けではありませんが、ローラーメーカーにとって重要項目である軸アライメントに関しては「当 て推量」を大幅に排除することができるようになりました。

これにより、一貫した品質を確保し、製造プロセスの効率化が進んだとともに、ローラー当たり のオーバーヘッド単位原価を引き下げることも可能になりました。

6. 追加説明
これは、溶接プロセスにおけるアライメントにおいて、ハウジングの内径寸法/交差やハウジン グフランジの直径寸法/交差の重要性が低くなったことも意味します。溶接ヘッドの中心ツールがシャフトの突起を検出して、カートリッジを圧延管の両端面に固定す ることにより、次の効果が得られます。

  • ローラーシャフトの中心軸から見て、カートリッジのフランジ外径と圧延管端の加工リセスの 内径(または圧延管自体の端面外径)との距離が平均化されます。
  • 圧延管の端に対するフランジ外径の精密な配置に依存せずに、溶接サイクルにおいて、この中 空が溶接ビードで完全に充填されます。